f の微分の仕方を知っているなら、その逆関数 f−1 もすぐに微分できるか?答えは f′ がゼロでない限りイエスだ。これにより lnx, arcsinx, arctanx などすべての逆関数の微分係数を効率的に求める近道が得られる。
逆関数の微分公式
定理。 f が開区間 I 上で連続かつ狭義単調で、I 上で微分可能、f′(x)=0(∀x∈I)とする。このとき f−1 は f(I) 上で微分可能で
(f−1)′(y)=f′(f−1(y))1.(1)
証明。 y0=f(x0)∈f(I) を固定し、y=f(x)(y=y0)とおく。このとき x=x0 であり、
y−y0f−1(y)−f−1(y0)=f(x)−f(x0)x−x0.
y→y0 のとき、f−1 の連続性(f の狭義単調性と連続性から従う)より x=f−1(y)→x0。f′(x0)=0 なので
y→y0limf(x)−f(x0)x−x0=f′(x0)1=f′(f−1(y0))1.□
ライプニッツ記法:y=f(x) のとき dydx=dxdy1。
lnx の微分係数
f(x)=ex として f−1(y)=lny とおく。f′(x)=ex=0 なので公式 (1) より
(lny)′=elny1=y1.
すなわち dxd(lnx)=x1(x>0)。
逆三角関数の微分係数
アークサイン
f(x)=sinx を [−π/2,π/2] に制限すると f−1(y)=arcsiny(y∈(−1,1))。ここで f′(x)=cosx>0。x=arcsiny のとき cosx=1−sin2x=1−y2 なので
(arcsiny)′=1−y21.
アークコサイン
f(x)=cosx を [0,π] に制限すると f′(x)=−sinx<0((0,π) 上)。x=arccosy のとき sinx=1−y2 なので
(arccosy)′=1−y2−1.
(arcsinx)′+(arccosx)′=0 に注意:これは恒等式 arcsinx+arccosx=π/2(定数)と整合する。
アークタンジェント
f(x)=tanx を (−π/2,π/2) に制限する。y=tanx のとき f′(x)=1+tan2x=1+y2 なので
(arctany)′=1+y21.
まとめ
- 逆関数の微分則:f が狭義単調かつ f′=0 のとき (f−1)′(y)=f′(f−1(y))1。
- (lnx)′=1/x:(ex)′=ex の逆関数として導く。
- (arcsinx)′=1/1−x2、(arccosx)′=−1/1−x2、(arctanx)′=1/(1+x2)。