基本法則は関数の算術的な組み合わせを扱うが、(x3+1)100 や sin(x2) のような**合成(composition)**の微分は教えてくれない。**連鎖律(chain rule)**がその空白を埋める:f∘g の微分を f と g それぞれの微分で表すのだ。
定理
定理(連鎖律)。 g が x で微分可能で f が g(x) で微分可能とする。このとき合成 h:=f∘g は x で微分可能で
h′(x)=f′(g(x))⋅g′(x).(1)
ライプニッツ記法で u=g(x)、y=f(u) とおくと:
dxdy=dudy⋅dxdu.
証明
素朴な消去 kf(g(x+k))−f(g(x))=g(x+k)−g(x)f(g(x+k))−f(g(x))⋅kg(x+k)−g(x) は、g(x+k)=g(x) となるゼロでない k が存在するときに破綻する(第一因子が 0/0 になる)。次の補助関数の議論がこのケースを解決する。
証明。 補助関数 ϕ を次で定義する:
ϕ(u)=⎩⎨⎧u−g(x)f(u)−f(g(x))f′(g(x))u=g(x),u=g(x).
f は g(x) で微分可能なので ϕ は g(x) で連続だ。
任意の k=0 に対して u=g(x+k) とおくと:
f(g(x+k))−f(g(x))=ϕ(g(x+k))⋅(g(x+k)−g(x)),
これは g(x+k)=g(x) のときも成り立つ(両辺が 0 になる)。k で割ると:
kf(g(x+k))−f(g(x))=ϕ(g(x+k))⋅kg(x+k)−g(x).
k→0 のとき:右の因子は g′(x) に収束し、g は x で連続なので g(x+k)→g(x) となり ϕ(g(x+k))→ϕ(g(x))=f′(g(x)) が成り立つ。ゆえに (f∘g)′(x)=f′(g(x))⋅g′(x)。□
例
多項式の冪
((x3+1)5)′=5(x3+1)4⋅3x2=15x2(x3+1)4.
1次式の合成
((2x+1)100)′=100(2x+1)99⋅2=200(2x+1)99.
抽象的な合成
f が微分可能で g(x)=f(x2+3x) のとき、g′(x)=f′(x2+3x)⋅(2x+3)。
まとめ
- 連鎖律:(f∘g)′(x)=f′(g(x))⋅g′(x)。
- 証明では補助関数 ϕ を使い、g(x+k)=g(x) となる場合のゼロ除算を回避する。
- ライプニッツ記法:dxdy=dudy⋅dxdu。