車のスピードメーターが走行中ずっと正の値を示していれば、車は前進している。負の値を示していれば、後退している。単調性の判定定理はこの観察を任意の微分可能関数に適用したものだ:f′ の符号は、f がある区間で上昇するか、下降するか、一定かを教えてくれる。
定理
定理(単調性の判定定理)。 f が [a,b] 上で連続、(a,b) 上で微分可能であるとする。
- すべての x∈(a,b) で f′(x)>0 ならば、f は [a,b] 上で**狭義単調増加(strictly increasing)**だ。
- すべての x∈(a,b) で f′(x)<0 ならば、f は [a,b] 上で**狭義単調減少(strictly decreasing)**だ。
- すべての x∈(a,b) で f′(x)=0 ならば、f は [a,b] 上で定数だ。
- すべての x∈(a,b) で f′(x)≥0 ならば、f は [a,b] 上で**単調非減少(non-decreasing)**だ。
- すべての x∈(a,b) で f′(x)≤0 ならば、f は [a,b] 上で**単調非増加(non-increasing)**だ。
証明
5つのケースすべてが同じ論法で導かれる。a≤x1<x2≤b とする。平均値定理より、ある c∈(x1,x2) が存在して
f(x2)−f(x1)=f′(c)(x2−x1)
が成り立つ。x2−x1>0 であるから、f(x2)−f(x1) の符号は f′(c) の符号と等しい:
- f′(c)>0⇒f(x2)>f(x1)(ケース1)。
- f′(c)<0⇒f(x2)<f(x1)(ケース2)。
- f′(c)=0⇒f(x2)=f(x1)(ケース3)。
ケース4・5も同様に、非狭義の不等号で成立する。□
逆方向について
この定理は逆には綺麗に成立しない。f が狭義単調増加であっても、孤立点で f′ がゼロになることがある。
例。 R 上の f(x)=x3:f′(0)=0 だが、f はいたるところ狭義単調増加だ。任意の x1<x2 に対して x13<x23 が直接確かめられる。
正しい逆方向の主張は:f が (a,b) 上で単調非減少かつ微分可能ならば f′(x)≥0 — ただし一部の点で等号が許される。
単調区間の求め方
実際には、次の手順で単調性の判定定理を用いる。開区間上で微分可能な f が与えられたとき:
- f′(x)=0 を解き、f′ が未定義になる点を特定する。
- これらの点が定義域をいくつかの開区間に分割する。
- 各区間で任意の代表点における f′ の符号を調べる。
- 定理を適用して、増加・減少を結論づける。
例。 f(x)=x3−3x。
f′(x)=3x2−3=3(x−1)(x+1).
f′ は x=±1 でゼロになり、3つの区間が生じる:
| 区間 | f′ の符号 | f の挙動 |
|---|
| (−∞,−1) | + | 狭義単調増加 |
| (−1,1) | − | 狭義単調減少 |
| (1,∞) | + | 狭義単調増加 |
狭義単調性と逆関数の存在可能性
[a,b] 上で狭義単調な関数は単射(injective)だ:x1=x2 ならば f(x1)=f(x2)。連続性と合わせると、f は [a,b] から [f(a),f(b)](減少の場合は [f(b),f(a)])への全単射となり、逆関数も連続かつ同じ方向に狭義単調だ。
「狭義単調増加関数は逆関数を持つ」という主張の厳密な内容がこれだ。解析で逆関数に出会うとき、それはほとんどの場合、元の関数が関連する定義域で単調性の判定定理を満たしているためだ。
まとめ
- (a,b) 上で正の導関数を持てば f は [a,b] 上で狭義単調増加、負の導関数を持てば狭義単調減少、ゼロの導関数を持てば定数だ。
- 証明:任意の x1<x2 に平均値定理を適用し、f(x2)−f(x1) の符号が f′(c) の符号に一致することを示す。
- 逆方向は弱い:狭義単調性は孤立点での f′=0 を許容する。
- 単調区間を求めるには:f′=0 を解き、定義域を分割し、各部分で f′ の符号を調べる。
- 狭義単調連続関数は値域への全単射であり、連続な単調逆関数を持つ。