飛行機が離陸し、上昇し、巡航し、降下して着陸する。高度は閉区間上の時間の連続関数だ。飛行中のどこかで最も高い地点と最も低い地点に必ず到達する。最大値・最小値定理(Extreme Value Theorem)はこれが常に成り立つことを保証する——航空機だけでなく、閉有界区間上の任意の連続関数に対して。
定理の主張
定理(最大値・最小値定理、EVT)。 f:[a,b]→R が連続ならば、f は [a,b] 上で最大値と最小値を取る:すなわち xmax,xmin∈[a,b] が存在して
f(xmin)≤f(x)≤f(xmax)for all x∈[a,b].
が成り立つ。
証明
証明は二段階からなる:まず f が上に有界であることを示し、次に上限が実際に達成されることを示す。
第一段階:f は上に有界である
f が [a,b] 上で上に有界でないと仮定して矛盾を導く。すると各 n∈N に対して f(xn)>n を満たす xn∈[a,b] が存在する。数列 (xn) は有界区間 [a,b] に含まれるので、ボルツァーノ–ワイエルシュトラスの定理により収束部分列 (xnk) が存在し、xnk→c∈[a,b] となる。
f は c で連続だから:
k→∞limf(xnk)=f(c).
しかし f(xnk)>nk→∞ であり、有限値 f(c) への収束と矛盾する。よって f は上に有界だ。
−f に同じ議論を適用することで、f は下にも有界である。
第二段階:f は上限を達成する
M:=supx∈[a,b]f(x) とおく。第一段階より M は有限だ。上限の定義より、各 n∈N に対して yn∈[a,b] が存在して
M−n1<f(yn)≤M.
ボルツァーノ–ワイエルシュトラスの定理より (yn) は収束部分列 ynk→xmax∈[a,b] を持つ。連続性から
f(xmax)=k→∞limf(ynk)=M.
よって f は xmax で最大値を達成する。最小値は −f に同じ議論を適用することで得られる。□
各仮定が必要な理由
連続性・閉性・有界性の三つの仮定はすべて本質的だ。いずれか一つを取り除くと結論が成り立たなくなる。
連続性なし([0,1] 上の不連続関数)
f(x):={x0.5x∈(0,1]x=0
と定めると、supx∈[0,1]f(x)=1 だが f(x)=1 を満たす x∈[0,1] は存在しない——上限が達成されない。
閉性なし(開区間)
開区間 (0,1) 上の関数 f(x)=x は連続だが、supf=1 と inff=0 は共に達成されない——どちらの端点も定義域に含まれないからだ。
有界性なし(非有界区間)
[0,∞) 上の関数 f(x)=x は閉じた(しかし非有界な)集合上で連続で、上に有界でないため最大値が存在しない。
[a,b] の像は閉区間
EVT により f は最小値 m と最大値 M を達成する。中間値定理——f が取る任意の二値の間のすべての値を取ることを保証する——と組み合わせると、[a,b] 上の f の像はちょうど閉区間 [m,M] になる。
まとめ
- 最大値・最小値定理:閉有界区間 [a,b] 上の連続関数は最大値と最小値の両方を取る。
- 証明の概要:上限に近い点が [a,b] の数列を形成し、ボルツァーノ–ワイエルシュトラスが収束部分列を取り出し、連続性がその極限を上限に等しくさせる。
- 三つの仮定はいずれも本質的:連続性・閉性・有界性のどれかを落とすと、極値が達成されない反例が存在する。
- 系:像 f([a,b]) は閉区間 [minf,maxf] であり、EVT と中間値定理の組み合わせによる。