近傍

Basis
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前提知識

開球はある点の周りに、選んだ半径をもつ具体的なゾーンを与えてくれる。実際の証明では、正確な半径はたいして重要ではなく、何らかのゾーンが存在することだけが必要なことが多い。**近傍(neighborhood)**はその弱く、より柔軟なアイデアを捉えたものだ。

定義

(X,d)(X, d) を距離空間とし、xXx \in X とする。集合 NXN \subseteq Xxx の**近傍(neighborhood)**であるとは、ある r>0r > 0 が存在して

B(x,r)NB(x, r) \subseteq N

が成り立つことをいう。

言葉で言い換えると:xx を中心とする開球を NN にすっぽり収められるとき、NNxx の近傍だ。NN はより大きくても、奇妙な形をしていても、XX 全体に等しくても構わない——ただ xx の周りに少なくとも一つの開球を含んでいればよい。

R\mathbb{R} での例

  • (1,1)(-1, 1)00 の近傍だ。B(0,0.5)=(0.5,0.5)(1,1)B(0, 0.5) = (-0.5, 0.5) \subseteq (-1, 1) だからだ。
  • [1,1][-1, 1]00 の近傍だ(同じ理由——閉区間は開球を含む)。
  • [1,1][-1, 1]11 の近傍ではないB(1,r)B(1, r)11 より大きい点を含み、それらは [1,1][-1, 1] の外にあるからだ。
  • {0}\{0\}00 の近傍ではない00 の周りに正の半径をもつ開球を一点集合に収めることはできないからだ。

開球はその中心の近傍

すべての開球 B(x,r)B(x, r)xx の近傍だ:s=rs = r とすれば B(x,r)B(x,r)B(x, r) \subseteq B(x, r) が成り立ち、定義が直ちに満たされる。この意味で開球は最もシンプルな近傍だ——xx の近傍はすべて開球を含み、xx を中心とする開球はそれ自体が近傍になる。

近傍と開集合

近傍は開集合を点を中心とした視点でスッキリと表現できる:

集合 UXU \subseteq X開集合であるとは、UU に含まれる各点の近傍であることと同値だ。

この同値は開集合の定義として採用されることもある。近傍が単なる略記法ではなく、開であることの本質を捉えていることを示している。

開球ではなく近傍を使う理由

証明を書くとき、明示的な半径を指定するのはしばしば不要であり、議論を煩雑にする。近傍を使えば「xx の近傍 NN をとる」と言い、具体的な数を固定せずに「近さの存在」について推論できる。これは特に極限の定義で効果を発揮する。近傍による特徴づけは ε\varepsilon-δ\delta 形式よりしばしばスッキリしているからだ。

具体的な例として:次の二つは同じことを言っているが、抽象的な議論では後者のほうが扱いやすいことが多い。

ε\varepsilon 形式:すべての ε>0\varepsilon > 0 に対して NN が存在し、nN    d(xn,L)<εn \geq N \implies d(x_n, L) < \varepsilon

近傍形式LL のすべての近傍は (xn)(x_n) の有限個を除くすべての項を含む。

まとめ

  • xx近傍とは、ある r>0r > 0 に対して開球 B(x,r)B(x, r) を含む集合 NN のことだ。
  • xx を中心とするすべての開球は xx の近傍だ。
  • 集合が開集合であることと、その集合に含まれるすべての点の近傍であることは同値だ。
  • 近傍は半径に依存しない柔軟な「近さの語彙」を提供する——正確な半径が問題でないときに便利だ。